誠-変わらぬ想いの果て-
そして、奏はゆるゆると絡め取られていった。
「…ねぇ、奏。私達と一緒に行きましょう?」
「奏、もうお前を一人にはしない。だから、さぁ行こう」
「……え?」
奏はきょとんとして、目を瞬いた。
軽く首を傾げ、父の、そして母の顔を交互に見た。
二人共、優しく笑っていた。
「奏、一人になってしまったんでしょう?信じていた主にも見放されて。可哀想に。だから私達と一緒にいれば、淋しくないわ?そうでしょう?」
「あぁ。無理して辛い思いをしなくてもいい。お前ばかりそんな思いをする必要はないんだ」
「でも、珠樹は?珠樹も一人になっちゃう」
「珠樹は大丈夫よ。男の子だもの」
「あぁ、そうだ」
「…………」
奏はまた再び泣きそうな顔になった。
きゅっと唇を噛み、顔を伏せてしまった。