誠-変わらぬ想いの果て-
―――――――
「ここでしょ?不忍の池って」
「これで池?ちょっとした湖だよね」
沖田と珠樹の眼前には、池というにはいささか広い池がある。
暗いということを抜きにしても、向こう岸が見えない程だ。
「奏ちゃん、まだ来てないみたいだね」
「僕達より大分先に離れたはずなのに…何かあったのかな?」
珠樹が鬼火を灯すと、辺りが次第に露になってきた。
やはり、広すぎる湖だ。
カツンとヒールの音がして二人が振り返ると、そこに奏が立っていた。
「遅くなってごめんなさい」
奏は二人の前に立ち、ニコリと笑顔を見せた。
そのまま池の畔に行き、座り込む姿を二人はじっと見つめた。
「響ちゃん達いないね」
「確かここに来たんだよね?」
「うん、そう。悔しいわね。鈴の息の根を止めてやろうと思ったのに」
「アハハハ。鈴の、ね」
「奏ったら、冗談きついよ。………まぁ、仕方ないか。本物じゃないしね?」
「え?」
珠樹と沖田の刀が奏の背に向けられた。
ゆっくりと立ち上がる奏。
二人の刀が下ろされることはない。