誠-変わらぬ想いの果て-
「何言ってるの?珠樹」
「この僕が本物か偽物か分からないとでも?」
「奏ちゃんはね、響ちゃんの前じゃ殺しはやらないよ。むしろ、徹底的にその事実を葬り去るんだ。だから君の言ったこと、間違ってるよ」
奏はゆっくりと二人の方を振り向いた。
その口元にはゆるやかな笑みが浮かべられている。
「さすが、双子の兄。でもまさか人間にも知られるとは」
「あんた、その姿すっごく不愉快だよ。正体表せば?」
「これは失礼」
一瞬の間に、奏の姿は消え、変わりに女が現れた。
歳の頃は二十歳前後だろう。
「奏ちゃんはどこ?」
「さぁ?」
「ふざけるのも……っ!!」
珠樹が刀を振るおうとした瞬間、辺りに気が満ち、結界が張られたのが分かった。
だが、女の方も怪訝そうに眉をしかめていた。