誠-変わらぬ想いの果て-
「まだ仲間がうろついているかもしれないから。爺だと何かあっても対処できるし。ね?」
「はい」
「では、行って参ります」
「ありがとう」
爺は踵を返し、部屋を出ていった。
「響、鈴はどうしたんだよ」
「このことを知ってるのは私達だけなので、会場に戻って、怪しい人物がいないか目を光らせてくると紫翠さんと一緒に」
「澪の誕生日パーティーだからあんまりコトを荒げたくないもんな」
奏は部屋中にいる皆をぐるりと見渡した。
「ねぇ」
奏の涼やかな声が部屋に響いた。
ニコリと両手の手の平を合わせ、笑いかけてくる。
「ごめんね?」
奏がしようとしていることに気づき、近くにいた斎藤や山南が動いたが時すでに遅し。
パァンと拍手が高らかに鳴り、まぶたが次第に重くなる。