誠-変わらぬ想いの果て-
「あなたは雷焔の姓を捨てた。本当の兄でもない。そう言ったのはあなたじゃありませんか。可笑しなことを」
奏は嘲笑うかのように口元を刀を持っていない方の手で隠した。
「…………」
彼方は何も答えなかった。
ただ黙って奏をジッと見つめるだけだ。
その時だ。
周囲に大勢集まってくる気配がした。
それと同時に。
「奏。いくら“祭り”に久しく出てなかったとはいえ、独り占めはよくないだろう?」
「奏〜。このドレス動きにくいから裂いちゃった。ごめんね」
「謝ってすむ問題じゃない」
そう言いながら集まってきた招かれざる客達に刀を振るうのは、カミーユ、ミエ、エリオルで。
不満気に言うカミーユも、その表情は実に愉しげだ。
「そこのお二人さんも働いて働いて」
「今日の俺達二人は元老院内で武器所持を認められていない。その分きっちり片付けろ」
入れても出ることが叶わない結界を張っているのは、レオンとセレイルだ。
今日は第三課と、己の身を守るための近藤達にしか所持を認められていない。
二人は少し離れた位置で立ち止まった。