誠-変わらぬ想いの果て-
「近藤さん達は?どうしたの?」
「安心しろ。目を覚まさせて澪の所にやった。泣き喚いて、どうにも手におえんと連絡が来たからな」
「そう。…じゃあ、心おきなく」
沖田が踵を返してその場を少し離れようとした時
「沖田総司君。体はもう大丈夫なのかな?」
彼方の言葉に沖田の足が止まった。
「……何が言いたいの?」
「人間の手におえるような奴らではないと思うよ」
刀を向けられているのをまるで気にしていないかのように、いや、実際気にしていないのかもしれない彼方はニコリと微笑んだ。
「どうして何もしてないうちからそんなことが分かるの?僕だって昔、狐が人に化けたのと戦って斬ったんだけど?」
「労咳で倒れるまでの栄光って所だね」
その瞬間、沖田の瞳が剣呑さを帯びた。
翻していた体を向け直した。
「黙ってくれる?不愉快だよ」
「失礼。事実を言ったまでなんだけどね」
「っ!!!」
奏が刀を横一線に凪ぎ払った。
斬ったと思った瞬間、彼方の姿がゆらりと揺れた。
どうやら実体ではなく、思念だけを飛ばしてきたらしい。