誠-変わらぬ想いの果て-



―――元老院パーティー会場




「ほーら。澪の好きな菓子だぜ?」


「……いらない」




山南に抱っこされた澪ちゃんは胸に顔を埋めてしまった。


近藤達が来て随分経つが、澪ちゃんの機嫌は直っていない。




「あいつら、まだ戻ってこねぇのか?」


「みたいだな」


「……まずい。客達が騒ぎ始めやがった」




チッと舌打ちをした鷹は自らの翼を広げ、いずこかへ飛び去っていった。


それを見送った後、会場中を見渡すと、確かに客同士がこそこそと小声で話している。


全部が全部ではないだろうが、鷹の言うことだ。


ほとんどがそうなのだろう。




「なぁ、俺達も行った方がいいんじゃねぇの?」




藤堂がそう言った時…




「奏ちゃん。覚えある?」


「……ない。私が恨まれてこんなことされたってなら掃いて腐る程いるけど、それを沖田さんや珠樹が知るわけないし」


「風戸は?半壊させちゃったし」


「でもそれじゃあ、レオンさん達だって知ってるじゃない」




バッと。


たくさんの視線が一方に集まる。



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