誠-変わらぬ想いの果て-
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「翁。お話が」
「昴に……葵か。珍しいのぅ。そなたが部屋から出るのは」
元老院の長である翁の前に、一組の男女が現れた。
葵と呼ばれた女は口元を緩やかに引き上げた。
「して、話とは?」
「はい。葵が占じた結果、やはり免れぬだろうと。そうだろう?」
昴と呼ばれた男が横に寄り添うようにして立つ葵に尋ねた。
葵はコクリと首を縦に振った。
「葵。そなたが生を受けて幾星霜。未だかつて占が外れたことはない。そのそなたが言うことならば、まず間違いなくそうなるのだろう」
翁は座る椅子の片側の肘掛けに体の重心を寄せた。
長い白髭をゆっくりと目をつぶったまま撫でた。