誠-変わらぬ想いの果て-



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―帰ってこなかったら、お嫁さんにするからね?―


「約束、守らなきゃね。奏お姉ちゃん」




高い声と低い声が入り交じる。


トクトクと試験管の中身が泡をたてている。


奥にある大きな椅子に腰掛けた男。


その手には銀の鈴が握られていた。


チリン、チリンと鈴は鳴らされる。



男の口元には隠しようのない笑みが浮かべられていた。




「………覚えてるかな?分かるかな?…ねぇ?」





「桜花」






チリン



ニャー




廻る廻る。


運命は廻る。


風を受けた風車のように。グルグルグルグルと。


そして出会う。


遠き日に交わした約束と。


たとえ覚えずとも、組み込まれてしまった。


己の逃れられぬ運命に。


再び出会った立場が、昔と変わらぬとは限らない。


恋人が好敵手に。


好敵手が恋人に。


敵が味方に。


味方が敵に。


運命は定まらずといえども変わらない。


手繰り寄せたのは………。



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