誠-変わらぬ想いの果て-
「どこが破壊されたのよ?」
「それが――」
コリンはそのまま黙りこくってしまった。
余程言いにくいと見た。
「?一体どこなのよ。
言ってくれなきゃ、修理に行けないわよ」
「えっと―――レオン様の聖堂です」
「…………………」
一瞬で場が凍り付いた。
土方達もその名を知っていた。
いや、記憶から消え去りたくても消えなかったと言うべきか。
過去にとんでもない恐怖を味合わされた男だ。
第五課長である彼は、諜報及び儀式関係を司っている。
先のカミーユ、セレイルとあわせて元老院三大魔王と呼ばれている。
職務柄、彼は聖堂やその類のものを壊されるのをひどく嫌う。
「――…レオン様は?」
「今、ミエとエリオルさんと一緒に外出中です。 なので今の内に!!」
ミエは奏の主、エリオルはその守役だ。
奏はミエにも秘密で眠りについていたのだが、他はどういうわけか、知っているらしい。
「ちょっと失礼するわね!!」
疾風のごとき速さで二人は屋敷を出ていった。