誠-変わらぬ想いの果て-
いざ、静岡
―――… 一時間後
門から出た場所はどこかの林の中だった。
「あー、えっとー。
初仕事はここみたいですね」
「ここ、どこだ?」
「地図上でいくと――静岡ですね」
山南が持ってきた地図を見ながら答えた。
ばっちり現在の日本地図だ。
「本当さ、君達。 一体どうやったらそんなに社会に順応できるんだか」
「ねぇ、珠樹。静岡ってどこら辺?」
「そうだね、百五十年前でいくと遠江、駿河、伊豆あたりかな?」
「ふーん」
奏は山南が持っている地図を覗き込んだ。
ここは、ここは?と山南に尋ねまくっている。
「え?お前、場所知ってんじゃねぇの?」
「知らないよ」
「雷焔君、つかぬことを聞きますが、目が覚めたのは?」
山南が地図から目線を上げ、奏を見た。