誠-変わらぬ想いの果て-
―――約束の地
「いや〜参った参った。
辺りが変わってて」
「百五十年しか経ってないのにね」
鬼である彼らにとって百五十年など、一瞬とは言わないが、その程度の感覚だ。
辺りの変わりように、奏は興味津々にキョロキョロと見回す。
奏にとって見るもの聞くもの全てが珍しい。
まるで小さな子供のようだ。
「でも良かったですね。まだあって」
「爺達は来てないの?」
「えぇ、あの後、京を出て、江戸の家を引き払って雷焔の里で暮らしてますから」
「ふーん」
雷焔の里、やっと復興できたんだ。
それに、良かった。
ここを人間に荒らされないで。
――――――あ。
奏は目的の場所に、いくつかの見覚えのある姿があるのに気づいた。
「――――いた!!」
奏はそうっと足音を消して近寄り、桜の木の裏側に隠れた。
驚かせようと深呼吸をし、足を踏み出した…………が。