誠-変わらぬ想いの果て-
「さっさと言いやがれっ!!」
奏を本気で追いかけ回し始めた。
それがまた速い速い。
抜群の運動神経を誇る鬼である奏ですらヒヤッとする程だ。
しかし、鍛えられているのだろう沖田は、なおも鬼ごっこを楽しそうにしていた。
注)土方さんはめちゃくちゃ本気です☆
「話が大分ズレているんだが」
「そうですね。軌道を戻しましょう」
近藤が土方達を苦笑いで見ている。
いつも何だかんだでこうなるのだ。
もはや慣れという領域をこえている。
日常生活に組み込まれているのではないかと時々思ってしまうくらいだ。
「でも土方さん、今この写真と違って髪の毛長いですし、年がら年中眉間にシワを寄せてるだろうから分からないですって」
「おい。お前、朝、目が覚めたばっかりにしては、やけに俺の神経逆撫ですんのがうめぇじゃねぇか。
――――――…この毒舌娘が!!」
だが、奏は聞いてやしない。
両手でしっかりと両耳を塞いでいる。
しかもとびっきりの笑顔で。
笑顔がこんなにも小憎たらしく見えるのは、沖田に奏くらいだろう。