誠-変わらぬ想いの果て-
「かーなーでーちゃん?」
「うひぃっ!!」
生い茂る木の中から、ヌッと顔が出てきた。
その顔は懐かしい笑顔で――。
「沖田さん!!気配消しすぎ!!」
「この声は奏か!!?」
「奏ーっ!!」
「おっ!!こっちこっちーっ!!」
せっかく驚かせようとしたのに、この男のせいで台無しだ。
沖田が地面に飛び降りてきて、久々の笑顔を見せた。
「奏ちゃん、おはよう」
「――おはようございます」
何の裏もない笑顔に、ぺこりと頭を下げ、微笑み返した。
いつもこんな風にしてくれたらなぁ。
黒い笑顔とか妖しい笑顔とかじゃなくて。
奏は永倉が手招きしている方へ駆け寄った。
珠樹達もそれを追いかけてきた。
「おはようございます!!みなさん!!」
「おはよう」
「おはようございます」
まるで毎日の挨拶のようだ。
しかし、実際は最後に会ってから百五十年が過ぎている。
言葉にこめられた想いも、人それぞれ色々あった。