誠-変わらぬ想いの果て-
―――屯所
「ただいま〜」
奏が玄関を開けると、奥からパタパタと足音が聞こえてきた。
すぐに響がエプロンを外しながら、みんなを出迎えに現れた。
「お帰りなさい、みなさん!!
すぐ食事の用意できますから。
もう少し待っていてくださいね?」
「おぉ〜!!飯、飯〜!!」
「新ぱっつぁん、まだだって」
靴を脱ぎ、大広間に駆け込もうとする永倉を藤堂が呆れたように止めた。
響はクスクスと笑っている。
「爺は?」
「広間で近藤さん達とお話を」
「そう。――――やっぱ響は落ち着くわ〜」
スリスリと擦り寄る奏に響はニコニコとしている。
何を言っているのかは分からないが、奏が嬉しそうならこの少女はそれでいいのだ。
「奏、私、最後の仕上げしてきますから」
「手伝おうか?」
「いえ、大丈夫です。本当に仕上げなので」
響はそう言うと、台所の方へ戻っていった。
奏達も自分の部屋に荷物を置き、大広間へ向かった。