誠-変わらぬ想いの果て-
「それにしても良かった。
探しに行く手間が省けました」
実は、約束を忘れて、来てくれないかと思っていた。
内心、ちょっとどころかとっても不安だったのだ。
だから、みんなの姿があって本当に良かった。
奏が安堵の溜め息をついた時、井上がおずおずと口を開いた。
「いや、その、雷焔君。
あの、な。―――トシが」
「はい?」
近藤や井上からトシと呼ばれる人物。
それは、新撰組鬼の副長である土方をおいて他にはいない。
奏は辺りを見回した。
「―――あ、本当だ。 いやぁ、やけにあの年がら年中喧しい怒鳴り声が聞こえないなって思ってたんですよ」
「奏、目ぇ覚ましてすぐに毒舌かませるなんて、お前やっぱ凄ぇな」
「あら、ホント?
オホホ。特技なもんで」
そんな特技、やめてしまえ。
そう思ったのは、思った言葉は違えど、内容は同じにして―――もれなく奏以外全員だろう。
隣の顔を確認して、頷きあっている。