誠-変わらぬ想いの果て-



「ちなみにそれっていつ?」


「えっと―――3月って言ってたかな?」




打てば響くあづさの情報に、奏はにんまりと笑った。




「そっか。―――烝、顔色悪いね。

保健室で休んできたら?」


「――――あぁ、そうする」




山崎は奏の考えを察し、踵を返して保健室の方へ歩いていった。


具合が悪くなった演技はアカデミー賞ものだ。


現に今まで一緒にいたあづさでさえ信じてしまっている。




元老院、屯所への戻り方は教えてあるし。


報告頼んだよ、烝。




「奏?奏も具合悪いの?」


「んーん?行こ?」




二人は目的の教室まで、足を進めた。




―――雑鬼達が言っていたんだが、キツネが何か動きを見せているらしい―――




近藤の言葉が、しばらく奏の頭から離れなかった。



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