誠-変わらぬ想いの果て-
「奏ちゃん、山崎君から聞いた話。本当?」
沖田は奏の背中に抱きつきながら耳元でそう呟いた。
「近い!!珠樹も睨み付けない!!
――ホント、ホント」
沖田を押し退け、背中にひっつかれないように、窓枠に背を預けた。
サアッと風が奏の黒髪を揺らした。
青空が茜空に変わり、逢魔ヶ刻がやってきた。
「―――狐か」
「そういえばアイツらはどうなった?」
斎藤が眉を寄せ、腕を組み、机に腰掛けた。
斎藤のいうアイツらとは、幕末に奏達が対峙した狐のことだ。
「時雨は人を殺したから、まだ第四課。
残りはもう罪は許されてるはずだよ?」
第四課は現代でいう、裁判所と監獄が混ざったような職種だ。
元老院の三大原則のうちの一つを破った彼は今、第四課が管理している獄舎で罪を贖わされいる。