誠-変わらぬ想いの果て-

真夜中の巡察




―――数時間後




「か〜ら〜す〜、なぜ鳴くの〜?

烏の勝手でしょ?カァカァ」


「ちょっと。緊張感台無しな歌、歌わないでよね」


「だって、何も起こらないじゃない」




それぞれ思い思いの場所を回ってみるが、これといって異常はない。


返って不気味なくらいだ。


奏達は妖もたくさんいるはずの高校を選んだのだから。




「総司、そいつの言うとおりだ。

もうちょっと真剣にしやがれ」


「烏が飛んできて土方さんに向かってアホウアホウって鳴いてくれないかな?」


「んだと、コラ!!言わせておけば!!待ちやがれ!!」


「嫌ですよ」




校舎内で鬼ごっこが始まった。


もう夜の帳も落ちて久しい。


烏も寝床に帰っているはずだ。


土方も冷静に考えれば、今はそんな事態にならないと分かるはずなのに――。


頭に血が回った土方は、沖田に暇潰しの格好の道具にされたことにも気づかず、一人必死に追いかけ回していた。



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