誠-変わらぬ想いの果て-
「汝ら、ここに寄せられたモノ達か?」
低く、お腹にまで響くような声で現れたモノ、天狗は奏達に問うた。
「私達は元老院から派遣された者よ。あなたは?」
「我は小笠神社に住まう天狗。
この辺りを統べる者だ」
奏が元老院の者であることを明かすと、天狗は警戒を緩めた。
さっきまで、少なからず殺気だっていたが、それもなくなっている。
「先程、校内を飛び回っていたのはあなたでしょう?何故?」
「最近、ここらを荒らす不届き者がでている。 この辺りを統べる者としては見過ごすことはできん」
つまり、見回りをしていただけらしい。
なのに、被害はそれなりにでている。
まぁ、滅茶苦茶になった程度で怪我人云々はいないが。
妖は人間の都合など全く考慮にいれないのだ。
この天狗も例にもれず、そのくちだろう。