誠-変わらぬ想いの果て-
「雷焔、これに答えられなかったら反省文50枚な?」
「はぁ?ま、いいけど。言ってみなよ」
寝起きの奏はいつもの土方に対する敬語を(故意的に)忘れていた。
土方はさらに歪な笑みを浮かべ、教科書に目を落とした。
奏は教科書を閉じる必要はなかった。
そりゃそうだ。
最初から開いてなんかいないから。
「平安時代に初代蔵人頭に任命されたのは?」
「腰巾着」
「は?―――検非違使を設けた天皇は?」
「―――腰巾着の親玉。あるいは性悪男」
「―――――お前、マジに答えろよ」
奏はハアッとため息をついた。
奏はその二人が心底大嫌いなのだ。
色々と因縁があって。
「――藤原冬嗣と嵯峨天皇」
「よし。――いや、よしじゃねぇ。きちんと最初から真面目に答えろよ」
「はいはい」
そう言ってすぐ、奏は夢の世界に旅立っていった。
「起きろっつってんだよ!!」
「土方先生、構わず授業を続けて下さい」
「―――あぁ、そうだな。そうだよな」
真面目にノートをとっている斎藤が土方を促した。
土方も諦め、黒板に向かった。