誠-変わらぬ想いの果て-
「お、もうこんな時間か。さて――小テストでもするか」
何が楽しいのか分からないが、先生達は授業中に小テストをして、後で採点するのが楽しみならしい。
今、土方が浮かべている笑みもどきもその類だろうか。
「よーし。教科書閉じろー。沖田、斎藤。双子を起こせ」
「はいはい。――奏ちゃん、土方センセーが起きろってさ。早くしないと甘味食べられちゃうよ?土方センセーに」
「いや、甘味なんか「どこ!!?甘味、どこ!!?」
甘味と聞き付けて、パッチリ目を覚ました奏。
珠樹は斎藤に叩き起こされて、不機嫌そうに土方を睨んでいる。
「甘味、ないじゃん!!食べたのか!!?食べたんだな!!?何故、食べた!!土方のくせに!!」
「――――俺は一体どこからどう、つっこめばいいんだ?」
「最初から最後まで全部じゃないかと」
土方は荒れ狂う奏をひとまず無視し、テストを配り始めた。
沖田が奏の耳元で何かを言っていた。
あの二人が組むとろくなことにならないので、気になると言えば気になる。
しかし、土方はあえて聞かずにいた。
どうせ聞いても聞かなくても結果は同じだ。