誠-変わらぬ想いの果て-
「―――それ、本当?」
「うん。みんなには秘密ね?」
「――――分かった。男に二言は?」
「あるわけないじゃない」
沖田が笑みを浮かべ、奏からテストを受け取った。
何を言われたか知らないが、奏のご機嫌は改善されたようだ。
鼻歌混じりに、今日のこの時間の間で初めて筆箱を開いた。
「よし、始め」
全員にテストが行き渡ったのを見て、土方が合図を出した。
一斉にカリカリと書き込む音が聞こえる。
土方は窓辺により、外を眺めた。
校庭を見れば、原田と永倉達のクラスが体育でサッカーをやっていた。
心地よい風が吹いており、教室は書く音だけ。
―――あぁ、のどかだ。
毎日テストをしたくなってきた。
学校でも屯所でも。
そしたら、幾分か静かに仕事もできるし、句も……。
「センセー、いつまでするんですか?」
土方のそんな儚い希望も、沖田の声にぶち壊された。
タイミングを確実に見計らったかのように声をかけてくる。