誠-変わらぬ想いの果て-



「―――それ、本当?」


「うん。みんなには秘密ね?」


「――――分かった。男に二言は?」


「あるわけないじゃない」




沖田が笑みを浮かべ、奏からテストを受け取った。


何を言われたか知らないが、奏のご機嫌は改善されたようだ。


鼻歌混じりに、今日のこの時間の間で初めて筆箱を開いた。




「よし、始め」




全員にテストが行き渡ったのを見て、土方が合図を出した。


一斉にカリカリと書き込む音が聞こえる。


土方は窓辺により、外を眺めた。


校庭を見れば、原田と永倉達のクラスが体育でサッカーをやっていた。


心地よい風が吹いており、教室は書く音だけ。




―――あぁ、のどかだ。




毎日テストをしたくなってきた。


学校でも屯所でも。


そしたら、幾分か静かに仕事もできるし、句も……。




「センセー、いつまでするんですか?」




土方のそんな儚い希望も、沖田の声にぶち壊された。


タイミングを確実に見計らったかのように声をかけてくる。



< 79 / 254 >

この作品をシェア

pagetop