誠-変わらぬ想いの果て-



―――屯所、大広間




今、響が夕飯を作って持ってくるのをみんなで待っている。


スッと襖が開き、みんなの視線がそちらへ集中した。




「待って――たって――土方さんかよ」




永倉は上がりかけたテンションを一気に急降下させた。


入ってきたのは何やら紙を握り潰した土方だ。


しかも顔が笑っているが、目は笑っていない。




「どうしたんだ?土方さん、それ」


「あぁ?これか?これはなぁ、今日のこいつらの日本史の小テストだ」




土方は原田にグシャグシャになった紙を放った。


原田が広げると、まず一面に、“僕は幕末からしか存在してないので平安時代のことは分かりません”でかでかと書かれている。


名前は沖田総司だ。




「た、確かに」


「そりゃそうだな」


「納得すんじゃねぇ!!」




土方は思わず同調しそうになっている面々を怒鳴りつけた。


半狂乱に陥っている土方をなだめすかし、原田は次をめくった。



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