誠-変わらぬ想いの果て-
土方は勝ち誇った顔つきで、奏の前に紙をちらつかせた。
「奏さんよぉ、今度から真面目にするか?」
奏はその紙が何なのか分かり、すかさず奪い取ろうとした。
「この間の聖堂破壊事件に関して知っていることを書いてくれって回ってきたんだがな?お前が真面目にしてくれないと、間違って手元がくるって下手人にお前の名前書いてしまうかもなぁ」
土方は心底悪人面で、目以外で笑っている。
その紙の一番上には、第五課長への被害報告書と書かれていた。
ここは何としても阻止しなければならない。
だが、土方の執念が勝っているのか、一向に手元にこない。
「最っ低ぇー。土方さんてそんな人だったんだ。幻滅ーっ」
「あぁ、結構結構。お前に言われたからといって全く何とも思わねぇ。むしろ褒め言葉に思えるな」
―――むかつく。
あぁ、日頃の土方さんの気持ち分かった気がするよ。
今すぐはっ倒したい気分。
奥歯ガタガタ言わせたい。
総入れ歯にしてやろか?
奏は土方を思いきり睨んだ。
だが、土方は依然として優勢にあるので、痛くも痒くもない。