誠-変わらぬ想いの果て-
「みなさん、お待たせしました」
響が膳を運んできた。
今日もとてもおいしそうだ。
山崎と島田が進んで手伝いを申し出た。
「おぉ〜。うまそうだな」
「また飯が食えるなんてなぁ」
「雷焔君に感謝ですね」
口々に謝辞を言われ、奏も悪い気はしない。
基本、元老院の者だという認定さえ受ければ、冥府にある鬼籍から名前が抜かれる。
鬼籍に名前が記入されると、人間としてできていたこと、つまり、食べることや寝ることなどができなくなるのだ。
ゆえに、鬼籍から名前を抜かれた今、みんなは食事をとることができているというわけだ。
ただし、手続きがえらく面倒で、冥府の官吏も全くいい顔をしない。
まぁ、あの男がいい顔をしてる所など、家族か澪ちゃんと接している時しか見たことないが。
「小野篁に借りを作ってしまったか。なおさら気に食わないが……まぁ、仕方ない」
みんながおいしそうに響のご飯を食べるのを見て、奏は肩をすくめた。
結局、奏はみんなでご飯を食べるのが好きだったのだから、これ全て結果オーライだ。