かんぺきなあいつ。
階段を1階降りると玄関はすぐそこ。


靴箱付近は人がめちゃくちゃいる。


これはすぐに靴履いてさよならって訳にはいかねぇな。


…隣りにいる三広の顔がどんどん不機嫌さを増してきている。















靴箱までたどり着く隙に、


なんとなくきょろきょろと辺りを見回してみる。



空維、いねぇのかな…。










「…!」



…いた。


玄関の入口をすぐ出たとこの端っこ。



荷物が全然入ってないぺたんこの鞄を肩にかけて立っている。




色素が薄い茶色に近い髪の毛は、ショートというには長すぎるけどミディアム程もない。


どちらかというとショートで少しくせがかかっている。


背は俺と同じ…いや、少し低くてめちゃくちゃ細くて。


春休み前に見た姿と何ら変わっていなかった。





空維も辺りをきょろきょろと見回していて誰かを探しているみたいだ。



…こっち向かねぇかなー。



…ちょっと。


もう…ちょっと…






















あ、こっち向いた。
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