かんぺきなあいつ。
「恥ずかしいからって隠すなよ!遠慮すんなってー!俺と柚木の仲じゃん!」


翔正はそう言いながらバシバシと人の背中を叩いてくる。



「…いねぇって言ってんだろ!」



けっこうイラッときたので翔正の脇腹にエルボを入れた。


いってー、とうずくまっている翔正の背中にバシッと一発。





「いだっ!つーか俺そんな怒らせるようなこと言った!?」


「言った!もうお前自分の席戻れ!」



翔正は言われなくても戻ろうと思ってましたー、とかなんとかぶつぶつ言いながら去って行った。


よっぽど痛かったのか顔を未だに歪ませて背中と脇腹をさすりながら。





「…あー!やっと静かになった!」


椅子をガタッと言わせながら背もたれに身を投げる。


翔正一人で男子5人分のうるささだ…。



「柚木」


「ん?」



名前を呼んできたのは前の三広で、やっと眠気が吹き飛んだのかさっきよりも目が開いている。



後ろを振り向いている三広は



「あんな過剰反応してたらばれんぞ」


と言ってきた。



「…お前起きてたのかよ」


「こんなうるさいとこで誰が寝れっか」



ライブのときすら爆睡してたお前が言うことか。
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