one day
 彼女はドアのところで、少し振りかえって言った。
「あなたにはユーモアのセンスがあまりないみたいね。それと、これは私の憶測も入ってるからあまり当てにはして欲しくないんだけど、私の叔父は死期の事は予測できないの。だから、恐らくあなたは一日経っても死なないとは思うわ。でも、それより恐ろしい事になる可能性もある。これは脅しとかじゃないの。わかっていると思うけど、私はあなたを脅しても何も得しないしね。私の叔父が依頼された訳でもないのに、何かを伝えるという事は今まで一度もないの。叔父は他人の人生に、良くも悪くも自分の能力が関わる事を望んでいない。未来はとてもデリケートなものだし、他人がどうこうするものではないと思ってるから。依頼されて仕方なく、とても慎重に行っているの。だから、今回の事はあなたにとって、とても重要な事だと思うし、あなたの問題という事は間違いないけど、あなただけの問題でもない可能性が高いわ。恐らく、かなり広範囲にこの世界に関わる事。だから、いい方向に物事が進んで欲しい。私もできる限り、協力するわ。でも、うまく言えないけど、私には大した事はできない気がする。なぜなら、基本的にあなたの問題だから。でも、何か私にできそうな事があったらこの番号に電話して、今日はこの街のホテルに泊まっているから。それじゃ。」

 カリカは一方的に、話して行ってしまった。それと、ホテルの電話番号が書かれた紙切れ1枚を残して。
 僕は、混乱した頭を立て直そうとコーヒーを淹れて、窓際で煙草を吸った。
 窓の外では雨が降り続いていた。一向にやむ気配はない。
 少し気が滅入ってしまったが、今の出来事を整理しなければならないと思い頭を無理矢理働かせた。まず第一に、僕は僕を信じて行動するという事を確認した。これは、今回の事は関係なく、いつも念頭にある僕の基本姿勢のようなものだ。それから、カリカの言った事を思い出してみる。
 一日?時間がない?多分死なない?僕の問題であり、僕以外の世界にも影響を及ぼす事?

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