2人の陰陽師〔前半〕
『なに!?』


蓮が伝えたかったのはこういうことだ。

“蓮”が術を使えば黒ウサギはあたしを刺すと言った。



だったら蓮ではないものが術を使えばいい。


あたしだって陰陽師だし術を使える。



だけどあたしには戦える体力はないわけで。


それに霊力封印してるし、たいした術は使えない。


だから攻撃するのではなく、動けなくした。



それが一番足手まといにならない方法。


なにより、蓮が攻撃するなって目で訴えてた。


あたしのことを心配してるんだ。



多分あたしを抱きしめたときに熱があることに気づいたのかな?


優しいな蓮は…。



それよりも固まっているうさぎさんに説明してあげなきゃね。


「驚いた?あたしだって術使えるんだよ? それに自分で普通の人間じゃない、って言ってたし。 蓮が術を使えるなら、こいつも使えるんじゃないかと疑うはずじゃない?」


『でも術者が同じ地区にいるなんて聞いたことがない!!』



まぁ確かに他の地区では2人の術者が同じ地区にはいない。


でもここは特別。


おばあちゃんにいつだったか質問したときにこういったんだ。


「おばあちゃんなんでこの地区にはたくさん妖怪がいるの?」


「ずっと昔に、この地区で大きな戦いがあったんじゃ。 それからこの地区に妖怪が集まるようになった」


「へぇー」



だからここには陰陽師がたくさんいるんだと言った。



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