2人の陰陽師〔前半〕
雑鬼達に気を取られていると、いきなり風の刃が飛んできた。

それをギリギリの所でかわす。

『さすが木下家の人間』

頭の上から声がして振り返って木を見上げてみた。


そこには、両手に鎌のような爪を持ったイタチの妖怪、“かまいたち”がいた。

「ふうん、そんな所に居たんだ?」

驚きを隠すように、冷静な言葉で話す。

妖怪に動揺を見せちゃいけない。

動揺を見せるということは、弱みを見せることと同じ。


それくらい冷静さが、大事なんだ。


『いたことに気づいていたような口振りだな』


「そりゃあ陰陽師だし。それくらいわからなきゃ」
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