2人の陰陽師〔前半〕
『離せと言って離すバカがどこにいるんだよ』


こいつ………ムカつく。

人質なんかいなかったらすぐ調伏してやるのに。

しかも、人質になっているあの女…なんで今屋敷の前を歩くんだよ!!

タイミング悪ぃな………。

あの妖怪は俺が手を出せないと思っているのか、薄気味悪い笑みを浮かべている。


こいつ…本当に俺が手を出せないと思っているのか?

出そうと思えば出すのは簡単なんだよ。


ただし、ものすごい集中力と注意が必要。

術を見られるのは嫌だが、今はそれしか方法がない。


まずは挑発するか……。

「お前、マジでそれで俺に勝ったと思ってんの?」

『なんだと?今の状況を見ろよ。明らかにお前が、不利な状況だろう』

そう言って、笑った。

まあ、俺が不利に見えるかもしれないが、陰陽師の頭をなめんなよ!!



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