金髪王子2
《申し出はありがたいけど、俺は、親父の国に留学する気はないよ》
俺がそう答えると、ジャンは悲しそうに眉を寄せた。
《そうおっしゃらず、せめて、パンフレットをご覧になるだけでも。
なにとぞ、一度、ご検討を》
うわー、参ったな。
親父の執事とはいえ、ジャンは、俺よりずっと年上。
たぶん、もうそろそろ60歳ってとこだろう。
そんな人に、こんな風に頼まれたら、邪険にできねぇよ。
《じゃぁ、見るだけ見ておくよ》
俺がパンフレットを手に取ると、ジャンはうれしそうに微笑んだ。