金髪王子2
『いや、俺はなにも聞いてない』
俺がそう答えると、菊地は電話の向こうでため息をついた。
『そっかぁ。
目が覚めてケータイを見たら、栞から「私のことは心配しないで」ってメールが入ってたんだけど、そうは言われても、心配で』
『……ちょっと、そのまま待ってろ』
俺は、近くにいた大野に声をかけた。
「おい、大野、今日、栞に聖慶大の見学に誘われなかったか?」
「え? ううん、誘われてない。
でも、栞なら、さっきひとりで校門出てったの見たけど?」
「そうか……」
マズイな……。
『菊地、どうやら栞、ひとりで行ったらしい。
俺、すぐに探しに行くわ。
待ち合わせ場所と、あと、村上の学部、わかるか?』