部活探偵のツンデレ事件簿－タイム・トリッパー殺人事件－

・限りなく透明に近い疑惑

2011年6月14日(火)午後03：00『疑惑……』

「なんでよ？」

文芸部部室で亜矢子は机に腰掛けて腕を組み、前原の言葉を聞き終わると同時に、偉く不機嫌な様子でそう言い放った。

「だから、そう言う言葉づかいは止めろって言ってんだろ」

パイプ椅子に座って亜矢子の顔を見上げながら琢磨が少し強い口調で亜矢子をたしなめたのだが、そんな生易しい攻撃は亜矢子に対して、全く効果が無かった。

「まぁ、そう言わないで、ちょっと話を聞いて貰えるかな：

前原は苦笑いを浮かべながら空いているパイプ椅子にゆっくりと歩みより、静かに座ると、膝の上で手を組んで、そこに顎を乗せながら、更に話を続けて行った。

「凶器から出た指紋が一致した事は前に言ったとおりだが、現場は密室。しかも、犯行当時、沢村先生は授業中で二十人の目の前に居た事が証明されている」