部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
珍しく強い口調の前原を見て、亜矢子の表情が少し曇る。

「まぁ、良いわ。つまりは学校内で沢村先生を追いかけ回せば良い訳ね。授業中は、どうにもならないけど、休み時間とか昼休みとか放課後なら何とかなると思うから、引きうけたわよ」

物凄く安直に返事をした亜矢子の表情を見詰めながら琢磨が一言物申す。

「いいか、引き受けたからには、手を抜くんじゃないぞ。それに、この事は、絶対に他言無用、べらべら喋りまくるんじゃねぇぞ」

パイプ椅子に座って卓上で腕を組み、そこに顎を乗せた格好で琢磨の疑心暗鬼な表情浮かべている事に気がついた亜矢子は、にやりと不敵に薄笑いを浮かべ、腹の底から絞り出す様にこう言った。

「わかってるわよ…」

琢磨はそれを聞いてから大きくひとつ溜息をついてから、徐に立ち上がると、前原の前に進み出て、少し遠慮がちにこう言った。
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