部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
前原は首をかしげて亜矢子に態度で返事を返す。その仕草が亜矢子の勘に触って、イライラをつのらせる。その瞬間だった……窓の外の暮れかけた闇を切り裂く様に稲妻が走り、部室の中を一瞬激しく照らし出す。そして間髪入れずに轟渡る雷鳴、そして大粒の雨。

前原は窓の外に目をやりながら、ふうっと小さく溜息をついた。

「最近の天気予報は当たるね」

諦めた様な口調の前原は一度窓の外に目をやってから、再び二人の方向に視線を向ける。

「車で来てるんだ。家まで送ろう。私の仕事を受けてくれたんだ、それ位の約徳が有っても、誰も文句は言わないだろう」

それを聞いた亜矢子の瞳が煌めく。渡りに船と言う奴だ。

「じゃぁ、皆で行きましょう、部室の鍵は、職員室に返さなきゃイケないから、そこまで付き合ってちょうだい」
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