部活探偵のツンデレ事件簿－タイム・トリッパー殺人事件－

「任意で御同行願えますか？」

角刈りの刑事は沢村直子の顔色を伺いながら極めて事務的に彼女に向かってそう言った。


「――は……はぁ」


沢村直子は、狐にでもつままれた様な表情で角刈りの刑事と若い刑事、そして、校長の顔を見て困惑した表情で曖昧な返事をして見せた。


「では、こちらに」


若い刑事にエスコートされて沢村は、廊下を歩き始めた。それを見た角刈りの刑事が校長に耳打ちをする。


「生徒さんには、校長先生から、上手い事、言っておいて頂けますか？」


「――はい、分りました」


校長はそう言うと美術室の中に入って行った。

それを確認した角刈りの刑事も若い刑事の後を追う。

校長は学校関係者が容疑者だと言う事を伏せておきたい処で有ったが噂は瞬く間に学校中をかけ巡り亜矢子の耳にも入る事と成ったのである。