部活探偵のツンデレ事件簿－タイム・トリッパー殺人事件－

「ちょっと頼みが有るんだけどなぁ……」

天ぷらうどんをつつきながら亜矢子は琢磨に向かって、子供が親におもちゃをねだる様な猫なで声でこう言った。

「断る……」

琢磨はＡ定食大盛りをかっこみながら視線を合わせない様、注意しながら無碍に一言で亜矢子の頼みを却下した。

「理事中室の見取り図が欲しいなぁ」

亜矢子は琢磨の否定の言葉等、聞いちゃぁいない。

「だから、断ると言ってるだろ。第一何するんだそんなもの。余計な事に手を突っ込むな」

「放課後までに宜しくね」

「おい、人の話を聞け！！」

「よ・ろ・し・く・ね・❤」

亜矢子は威圧的な笑顔をはりつけ、持って居た箸で琢磨の鼻をつまみながら言葉を区切ってそう言った。琢磨の返事は……

「――わ、わかりました」

と、言うしかないのである。何を言っても無駄なのである。この女王様は、こうと決めた事は、梃子でも曲げないツワモノなのだ。琢磨は幼少の頃から、この性格に泣いてきたのだ。