部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
殺風景な取調室で角刈りの刑事は沢村直子と向き合い、ほぼ睨みあい状態に陥っていた。

重苦しい沈黙の時間だけが過ぎて行く閉鎖された空間の空気は冷たく、お世辞にも居心地が良いとは言える物では無かった。

「沢村さん、もう一度、確認しますが、状況証拠だけを考えると、犯人は、あなたしか考えられないんです」

刑事は絞り出す様な口調で直子に向かってそう言った、しかし、直子は心の底から刑事に向かって叫んでいた。

「私じゃぁ有りません。絶対にそんな事は有りません!」

長年の刑事の勘と言う奴だろうか、正直、彼にも直子が嘘をついている様には見えなかった。

特に殺人を犯す犯人にはそれなりのにおいと言う物が有るのだが直子にはそんな物が微塵も感じられなかった。

そして、彼女との問答も平行線を辿って、接点見出す事は出来なかった。
< 32 / 121 >

この作品をシェア

pagetop