部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
アイスコーヒーのグラスが程良く汗をかいて、涼しげな風景を見せている。店内には時間帯のせいで有ろうか客はまばらで、ほぼ貸し切り状態だった。

「昨日一晩考えたんだけど、やっぱり、密室にする事自体が不自然だわ。こんなに科学的な捜査が発達した昨今、そんな事をしたって、ばれるのは時間の問題。逃げ切れるもんじゃないと思うの」

亜矢子はそう言ってから、アイスコーヒーを一口すする。



「あのなぁ、亜矢子、根本的に間違ってるのは、俺達の方じゃないのか?」



琢磨の浮かない声と表情を見て亜矢子は酷く怪訝な表情をして見せた。

「なによ、その根本的な間違いって……」

「だから、この一件は、警察に任せておけばいいじゃないかって事さ。態々俺達が首を突っ込む理由が何処に有るんだ?警察沙汰だぞ、死人が出てるんだぞ、はっきり言って大事件だ。それを、うわっついた気持ちで茶々を入れて、何かあったらどうするつもりだ……」
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