部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
「それでも、起きちゃったのよね……殺人事件…」

ファミレスの大きな窓の外を人々が行き来する。楽しげなカップルに親子連れ。何を思って歩いているのか顔をしかめている者も居れば、その楽しさは何処から湧いてくるのかと思う位、能天気な笑顔を浮かべている者もいる。

「なぁ、思うんだけど……」

琢磨が沈黙に耐えかねた様に口を開いた。

「ホントに他殺なのか?」

亜矢子の右眉がピクリと動く。

「――密室問題だよ。あの、意味の無い密室工作。視点が間違ってるんじゃないのか?」


「視点?」


「ああ、理事長は被害者と言うスタンスで皆考えてるだろう。そうじゃ無くて、実は加害者だったとしたらどうだろう」

「殺されたのに加害者……それはちょっと、無理が有るんじゃないかしら」

琢磨はアイスコーヒーを一口啜るそして徐に話し始めた。
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