部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
学校の生徒用玄関は休日の関係で、しかもお昼ちょっと前と言う中途半端な時間のせいで、利用している者は誰も居なかった。グラウンドを使用する運動部関係の部員達は、一時部室棟の方に避難しているらしく、グラウンドにも人影は見当たらなかった。
「どうする…まっすぐ帰るか?それともどっかで昼飯でも……」
亜矢子を見下ろしてそう尋ねた琢磨の顔を見上げて、彼女は当然の口調できっぱりとこう言った。
「おごりなら昼食、割り勘ならここで解散。どうする、琢磨……」
眼を細めて理不尽な要求をする亜矢子の視線に琢磨ははあっと一つ溜息をついてから呟く様に、亜矢子に向かって、既に決定事項で有る処の無理矢理おごり昼食の御招待に甘んじようとした、ところが……
「その話は、私に任せて貰って宜しいかな?」
琢磨は、その声の方向に向かってゆっくりと振り向く。その声は知らない物では無かったし、主が誰であるかも簡単に予測する事が出来た。
振り向いた先には、優しい頬笑みを湛えて佇むスーツ姿の男性が一人。この事件の担当、前原刑事だった。
「こんにちは、何か調べ物ですか?」
琢磨の表情に隙は無い。なぜならば前原刑事が何の目的も無く、この学校に訪れる事は100%無い訳で、下世話な表現をすると、何かしらの下心が有る筈な事を十分に理解出来ていたからだ。その琢磨の視線に、人間特有の警戒感を感じた前原刑事は、小さく肩をすくめて見せると、恐らくは営業用の表情で有ろう笑顔を作り、二人に向かってゆっくりと近づいて、猫撫で声にも聞こえる声色で、二人に向かってこう言った。
「どうする…まっすぐ帰るか?それともどっかで昼飯でも……」
亜矢子を見下ろしてそう尋ねた琢磨の顔を見上げて、彼女は当然の口調できっぱりとこう言った。
「おごりなら昼食、割り勘ならここで解散。どうする、琢磨……」
眼を細めて理不尽な要求をする亜矢子の視線に琢磨ははあっと一つ溜息をついてから呟く様に、亜矢子に向かって、既に決定事項で有る処の無理矢理おごり昼食の御招待に甘んじようとした、ところが……
「その話は、私に任せて貰って宜しいかな?」
琢磨は、その声の方向に向かってゆっくりと振り向く。その声は知らない物では無かったし、主が誰であるかも簡単に予測する事が出来た。
振り向いた先には、優しい頬笑みを湛えて佇むスーツ姿の男性が一人。この事件の担当、前原刑事だった。
「こんにちは、何か調べ物ですか?」
琢磨の表情に隙は無い。なぜならば前原刑事が何の目的も無く、この学校に訪れる事は100%無い訳で、下世話な表現をすると、何かしらの下心が有る筈な事を十分に理解出来ていたからだ。その琢磨の視線に、人間特有の警戒感を感じた前原刑事は、小さく肩をすくめて見せると、恐らくは営業用の表情で有ろう笑顔を作り、二人に向かってゆっくりと近づいて、猫撫で声にも聞こえる声色で、二人に向かってこう言った。