部活探偵のツンデレ事件簿－タイム・トリッパー殺人事件－

・亜矢子意見を述べる

「おい、亜矢子……やめろ…」

琢磨は差し出された傘を押し返そうとしたのだが、亜矢子は全く怯まない。琢磨を無理矢理傘の中に引っ張り込むと改めて琢磨の腕に抱きついた。

雨は相変わらず、しとしとと降り続き、上がる気配を全く見せなかった。

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直子は一人アパートの自室でフローリングの床に、ぺとりと座りこんでぼんやりと小雨降る窓の外を見詰めていた。その焦点は定まる事は無く、生気を感じる事は出来ない。雨音は意図の心を奪う事が有る。それは、幼い頃に刷り込まれた本能に語る音だからだ。

「……まだ…何とかできるわよね」

直子は同じ言葉を何度も繰り返す。ひたすら自分に言い聞かせる様に。雨は降り続ける……それは心をゆっくりと冷やして行く。直子は思った。このまま、自分の心が冷え切ってしまえばいいと。そうすれば、全ての苦痛から解放去るのだと思ったからだ。