部活探偵のツンデレ事件簿－タイム・トリッパー殺人事件－

2011年6月11日(土)午前13：30　『ファミレスの風景……』

「全然面白くないわ」

コーヒーを一口すすってから亜矢子は前原に向かって、彼が年上である事を全く気にする事無く、しかも溜息交じりにそう言った。

「おい、亜矢子、失礼だぞ……」

隣に座った琢磨が、バツの悪そうな表情を浮かべて亜矢子に向かって、少し強い口調でそう言ったが、前原は笑顔で、別に構わないよと言う表情で対応して、その表情を見た亜矢子は、その表情の意味を深く考える事も無く、ばっさりと、そう言って前原の言葉を切って捨てたのだ。

「基本だと思うんだがね……」

前原もそう言いながら、コーヒーを一口すする。この店では常に入れたてのコーヒーを出すと言うのが謳い文句で有るが、前原にはその味には、ちょっと納得出来なかったらしく、複雑な表情をしながらコーヒーカップの中身を見詰めた。

「だって、所謂、怨恨が原因の殺人だって言うんでしょ。今の処殺害方法は不明だけど、現場の状況から見て、犯人は顔見知り。全く争った痕跡が無くて無くなってる物もなさそうだ……と…ついでに部屋が密室って言うのはどう説明する訳？」

視線の方向を忙しく変えて、如何にも何か考えてますよと言わんばかりの態度を見せながら、更に傍若無人な態度を取ろうとしている亜矢子を黙らせようと琢磨が突っ込む。

「おまえな、だから、もう少し口の効き方を考えろ、失礼だろ！」