部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
「今回の事件だってそうよ。犯人の世間に対するアピールが足りないわ」
「アピール?」
「そうよ、この事件の一番の謎は、どうして密室なのかって言う事よ。あからさまにナイフで刺し殺しておいて、密室を作る。これじゃぁ自殺に見せかける事なんて不可能じゃない。密室の意図よ、それが鍵なんだわ、きっと」
前原はコーヒーカップを皿に戻すと、ちょっと身を乗り出しながら亜矢子に向かって静かに尋ねた。
「確かにこの事件で密室殺人はおかしいね。指紋をちゃんと始末してあるのは定石だとは思うが、密室にする必要なんか全く無い。それ以外にやる事は有る筈だとは確かに思う……」
「でしょう、そこで私は考えたの……」
亜矢子はそう言うと右手の差し指を立ててふりふりと振りながら、自信満々こう言った」
「偶然なのよ、密室になっちゃったのは」
そこまで聞いて前原は眼を細めてテーブルの上で手を組んで訝しげな視線を亜矢子に注ぐ。彼女の言葉の後ろに何が出て来るか気がついた琢磨は、抱え込んでいた頭を、バネ人形みたいにはじかれた様な勢いで上げ亜矢子の口を押さえようとしたのだが、彼女が言葉を発する方がタッチの差で速かった。
「アピール?」
「そうよ、この事件の一番の謎は、どうして密室なのかって言う事よ。あからさまにナイフで刺し殺しておいて、密室を作る。これじゃぁ自殺に見せかける事なんて不可能じゃない。密室の意図よ、それが鍵なんだわ、きっと」
前原はコーヒーカップを皿に戻すと、ちょっと身を乗り出しながら亜矢子に向かって静かに尋ねた。
「確かにこの事件で密室殺人はおかしいね。指紋をちゃんと始末してあるのは定石だとは思うが、密室にする必要なんか全く無い。それ以外にやる事は有る筈だとは確かに思う……」
「でしょう、そこで私は考えたの……」
亜矢子はそう言うと右手の差し指を立ててふりふりと振りながら、自信満々こう言った」
「偶然なのよ、密室になっちゃったのは」
そこまで聞いて前原は眼を細めてテーブルの上で手を組んで訝しげな視線を亜矢子に注ぐ。彼女の言葉の後ろに何が出て来るか気がついた琢磨は、抱え込んでいた頭を、バネ人形みたいにはじかれた様な勢いで上げ亜矢子の口を押さえようとしたのだが、彼女が言葉を発する方がタッチの差で速かった。