部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
「宜しいかね?」
扉がノックされる音が部室の中に響いて、亜矢子と琢磨が、そちらに視線を動かすと同時に、ゆっくりと扉が開かれて、笑顔を湛えた前原が文芸部の部室に現れた。
彼の眼には部室の中央には会議室でよく使われる縦長の机を二つ向かい合わせて置き、その縁に浅く座り腕組みをしながら何かを考え込む、あまり行儀が良いとは言えない亜矢子の姿と、パイプ椅子に腰かけて脚を組み頭の上で手を組んで視線だけを前原に向ける琢磨の姿を見てとる事が出来た。
「――どうしたんですか?前原さん」
先に口を開いたのは琢磨だった。
「いや、鑑識の検視結果が出たんで一応伝えておこうかと思ってね」
そう言う前原に鋭い視線を向けながら、亜矢子が、警戒心一杯の口調で彼に尋ねる。それには少しだけ、皮肉が込められている事も感じる事が出来た。
「あら、そう言う事は捜査上の機密、守秘義務とか有るんじゃないの?」
亜矢子の鋭く尖った棘の有る物言いに、前原は苦笑いを浮かべながら、ゆっくり部室の中に入り静かに扉を閉めた。
扉がノックされる音が部室の中に響いて、亜矢子と琢磨が、そちらに視線を動かすと同時に、ゆっくりと扉が開かれて、笑顔を湛えた前原が文芸部の部室に現れた。
彼の眼には部室の中央には会議室でよく使われる縦長の机を二つ向かい合わせて置き、その縁に浅く座り腕組みをしながら何かを考え込む、あまり行儀が良いとは言えない亜矢子の姿と、パイプ椅子に腰かけて脚を組み頭の上で手を組んで視線だけを前原に向ける琢磨の姿を見てとる事が出来た。
「――どうしたんですか?前原さん」
先に口を開いたのは琢磨だった。
「いや、鑑識の検視結果が出たんで一応伝えておこうかと思ってね」
そう言う前原に鋭い視線を向けながら、亜矢子が、警戒心一杯の口調で彼に尋ねる。それには少しだけ、皮肉が込められている事も感じる事が出来た。
「あら、そう言う事は捜査上の機密、守秘義務とか有るんじゃないの?」
亜矢子の鋭く尖った棘の有る物言いに、前原は苦笑いを浮かべながら、ゆっくり部室の中に入り静かに扉を閉めた。