部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
そう言った前原は明らかに警察の権力を行使していますよと言った表情で二人をそれぞれ見渡してから、ゆっくりと背を向けて部室から立ち去ろうと扉の取っ手に手をかける。その時、亜矢子がしっかりと抑えつけられた琢磨の手を全力で振り払い前原に向かって力いっぱい叫んだ。

「待ちなさいよ!」

前原は取っ手に手をかけたまま、亜矢子に向かって振り向いた。

「わかったわよ、協力するわ。でも、世の中、ギブアンドテーク、隠し事は無しよ、その条件でどうかしら?」

それを聞いた前原は、一見穏やかそうに見えるその顔で、これ以上は無いと言う不敵な表情を浮かべる、亜矢子に向かってにやりと微笑んで見せた。
その二人の表情を交互に見ながら、場数を踏んだ刑事の手腕って言う奴を痛感して、再び大きく溜息をついた。
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