Tree~一つ一つが葉になるとき
夏のある日
「夏のある日」~短編小説
少女は歩いていた。
ただ一人浜辺とぼとぼ歩いていた。
少女の目からこぼれる液体を次から次へと波がかき消す。
夜空には大輪の花火が咲く。
そんな花火の音も少女の耳には入らない。
今日は少女の誕生日。
一週間前は一緒に花火を見ようねって約束したのに
・
・
やっぱり彼は来ない。
まさか昨日に別れが来てしまうなんて予想もしてなかった。
きっかけはほんの些細なことなのに・・
「痛っ・・」
急に体にするどい痛みが走る。慣れない草履で歩いたせいか、
足元にあった何かにつまずいて転んでしまったのだ。
「もうっ・・何よ。・・・ん?」
そこには1つの植木鉢。
植木鉢には寄り添って咲いている二輪の朝顔。
よく見ると植木鉢には少女がつまずいた時の衝撃からか
真っ二つにひびが入っている。
それが今の自分たちの姿の様で・・
少女は植木鉢を抱え、またちょっと泣いた。
遠くで自分の名前を呼ぶ彼の声が聞こえたように思えた。
※ラストがどうなったのかは御想像にお任せします。
遠くで聞こえた声は少女の回想だったのでしょうか。
それとも実際に彼女を呼ぶ彼の声だったのでしょうか?
《FIN.。o○》