サヨナラいとしい子
三
「…ど、どうしよう、ココア」
仕事から帰ってくるなり、
ハルトは着替えもせず
スーツ姿のまま
アタシのそばにやってきた。
内緒話をするように、
大の大人が
アタシの顔の前で
ちょこんと正座する。
緊張してる?
どうしたの、ハルト。
アタシは
なだめるように
ハルトの指をなめた。
ハルトは一呼吸おいてから、
ブリーフケースから
何かを取り出した。
柔らかそうな
淡いブルーのショール。
どうしたの、それ。
ハルトの耳が赤い。
「…あの子のなんだ」
ハルトの話によると、こう。
帰りの駅で、
例の好きな女の子を
見かけたんだそうよ。
定時で帰る派遣の女の子と、
残業続きの社員のハルトは、
いつもは帰る時間が違うから
会うことはなかった。
でも、最近ハルトは、
アタシの調子を気づかって、
早めに仕事を切り上げて
帰ってきてくれる。
そのおかげで、
好きな女の子と帰る時間が
若干かぶったみたいね。
仕事から帰ってくるなり、
ハルトは着替えもせず
スーツ姿のまま
アタシのそばにやってきた。
内緒話をするように、
大の大人が
アタシの顔の前で
ちょこんと正座する。
緊張してる?
どうしたの、ハルト。
アタシは
なだめるように
ハルトの指をなめた。
ハルトは一呼吸おいてから、
ブリーフケースから
何かを取り出した。
柔らかそうな
淡いブルーのショール。
どうしたの、それ。
ハルトの耳が赤い。
「…あの子のなんだ」
ハルトの話によると、こう。
帰りの駅で、
例の好きな女の子を
見かけたんだそうよ。
定時で帰る派遣の女の子と、
残業続きの社員のハルトは、
いつもは帰る時間が違うから
会うことはなかった。
でも、最近ハルトは、
アタシの調子を気づかって、
早めに仕事を切り上げて
帰ってきてくれる。
そのおかげで、
好きな女の子と帰る時間が
若干かぶったみたいね。